5月24日、6月3日〜4日第2回田んぼの生き物調査

第2回 庄内 田んぼの生き物調査
2005年5月24日、6月3・4日 庄内環境創造型農業推進会議    速報版 VOL9

 どこまでも美しい田園風景が続く米どころ庄内平野で、わきあいあい“田んぼ談義”に花を咲かせる農家や消費者、地域の仲間たち。あぜを歩けばカエルが次々跳ね、「生きもののにぎわい」が伝わってくるようです。広がり続ける協力の輪。環境を守るには“人と人のつながりが大事である”と、実感できる調査・地域交流となりました。 除草剤なし 生きものの力で雑草を抑える有機農法や、冬場に水を張る「ふゆみずたんぼ(冬期湛水)」といった技術で試験栽培を続ける庄内平野の三つの農業団体。今回は延べ三日間にわたるスケジュールで、土を豊かにして雑草を抑えてくれるイトミミズや、稲に吸収しやすい養分を作ってくれるユスリカ(幼虫)などを調査しました。調査には農業団体の生産者のほか、ユーアイコープの職員・組合員、山形大学農学部や東北公益大学の教員・学生が加わり、とくに参加者の多かった六月四日の調査では約 60名の協力で調査が行われました。

写真:土の中の生き物を数える。

 10アール当たり965万匹とたくさんのイトミミズが見つかった庄内協同ファームの志籐正一さんの水田は、除草剤を使用していないにもかかわらず、ほとんど雑草がない状態。調査隊長で、庄内総合支庁農業技術普及課の技術指導員の安藤正さんは、「イトミミズが作った地表の地層『トロトロ層』の働きで、草が窒息して発芽できない」と話しています。昔の稲作は雑草との戦い。ところが、農薬が使われるようになって作業は軽減してからは、環境や食の安全という大切なものが失われてしまいました。「農薬無しで雑草を抑える『ふゆみずたんぼ』の技術はある意味究極の稲作りかも知れません」と、JA庄内たがわの大瀧慶一さんは話します。

◆生きもの調査を将来の農法作りに役立てる。

 「できればもっとたくさんの田んぼで比較調査したい」という庄内協同ファームの白澤吉博さんは、今後の比較調査で農法と生きものの数、周囲の自然やできるお米の相関関係を明らかにしたいと考えています。「生きものが増え始める時期は?」「いつ水が必要なのか」といったことがわかれば、いっそう環境と調和した米作りができるのでは、と期待が膨らみます。

◆お米は『八十八』人の手で守られる。

 たくさんの人の手によって育てられ守られて消費者まで届けられるのがお米や食べ物。ユーアイコープの紹介で全国各地の産地を訪れているという組合員の浜島日出子さんは、「米という字は『八十八』人の手によって守られているという意味。農家のみなさんに会って、生きものにあふれる田んぼを見て、これぞ安心して食べられるお米、と実感しました。これからは農家のみなさんはもちろん、田んぼや、田んぼの生きものみんなに感謝してお米を食べたいですね」とにこやかに語ってくださいました。

写真:田んぼの土を集めて、中の生き物を調べる。

◆環境と人の調和にはまず人と人の調和が大事

写真:調査の様子

 環境と人の調和には、地域の人と人の調和がまず大事、と考え調査に協力してくださっているのは、東北公益文科大学の呉尚浩講師や学生さん方です。小学生の総合学習のありかたを勉強している学生の林久美子さんは、今回データ記録係に大奮闘。「田んぼの栽培方法でこんなに生きものの数や種類に差が出ておどろきました。研究テーマである小学生の総合学習に役立てたい」と話しています。田んぼの生きもの調査が地域の学生の研究活動にまで役立ち、協力の輪が広がっていきます。

 近年の一般的な田んぼでは、田植えが終わると稲刈りまで人がほとんどいなくなるもの。ところが今回の調査では田んぼに大勢が訪れました。通りがかる地元の人は、そろって「何ごとが起こったの? 」と不思議そうな様子。「地域の人、若い人、消費者が田んぼにもう一度目を向けて、人と人が協力しあうことが田んぼの活力、農家の活力につながるのではないでしょうか。大勢の人に田んぼにきてもらい、田んぼに関心を持っていただいたことが、今回の調査の最大の収穫だと思っています」(庄内協同ファームの志籐正一さん)。

 

調査項目

白澤

菅原(誠)

菅原(真)

志藤

志藤

廣井

-

不耕起

秋期耕起

不耕起

-

-

冬期湛水

冬期湛水

冬期湛水

冬期湛水

減無栽培

慣行栽培

土の中の生き物調査
(10aあたり匹)

イトミミズ

3,400,000

400,000

6,750,000

9,650,000

1,600,000

4,000,000

ユスリカ(幼虫)

100,000

100,000

2,000,000

1,000,000

0

100,000

調査時刻

5/24 11:00

5/24 10:15

6/4
13:30

6/4
13:30

6/4
13:30

6/4
13:30

生息環境調査

天気

曇り雨

曇り雨

くもり

晴れ

晴れ

晴れ

気温(℃)

16.5

16.5

21.8

22.8

23.3

23.1

水温(℃)

17

16.5

29.1

27.7

27.5

27.7

水深(cm)

5

6.5

2.7

4.8

4.8

2.5

ph(酸度)

6.8

6.4

5.08

6.74

8.5

5.2

EC(電気伝導度、ms)

0.033

0.059

0.108

0.076

0.086

0.082

DO(溶存酸素量、ml/l)

8.2

10.5

5.36

6.22

8.68

7.5

ORP(酸化還元電位、mv)

-88

-118

-128

-76

-90

-64

調査日:2005年5月24日、6月4日:未検証の仮データです。

 

 ―発行:田んぼの生きもの調査プロジェクト―


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