ちば緑耕舎 6・7月 田んぼの生きもの調査

ちば緑耕舎 6・7月 田んぼの生きもの調査 速報版 VOL14

網ひとすくいにこれだけの生き物が入る。 千葉県栄町の農業団体「ちば緑耕舎」では“害虫を食べてくれる”など稲作に役立つ「田んぼの生きもの」に注目。消費者を家族連れで呼び、地域と交流をすすめながら、毎月1回以上のこまめな調査を続けています。メダカが泳ぎ、カモが子育てする田んぼで、稲も産直交流の輪もイキイキと育っています
<写真右:網ひとすくいにこれだけの生き物が入る。>

◆「田んぼの生きもの」に注目農薬や化学肥料を抑える

ちば緑耕舎の田んぼ 千葉県栄町、利根川の豊富な水と、豊かな土に恵まれた地域で活動する農業団体「ちば緑耕舎」。地域の10軒の農家が協力して、利根川や周囲の自然と調和した農業を実践しています。ちば緑耕舎では昨年から、害虫を食べてくれるカエルやクモ、土を豊かに耕してくれるイトミミズなど、米作りに役立つ田んぼの生きものの働きに注目。一般的には水を抜く冬場に水を入れる「ふゆみずたんぼ」の技術を取り入れながら生きものを増やし、生きもの調査で効果を確認しています。
 昨年に続き、調査には千葉県立茂原農業高校の渡邉英二教諭や同高校の生徒さん、産直米の消費者団体である生協エルコープや地域の市民団体が協力。農薬や化学肥料を使う「慣行栽培」と「減農薬・減化学肥料栽培」、農薬や化学肥料を使わず、冬場にも水を張る「ふゆみずたんぼ」の3カ所の田んぼで、毎月1回以上の調査を続けています(6・7月では、6月6・18・27日、7月10日)。
<写真上:ちば緑耕舎の田んぼ>

◆生きもの調査がきっかけ消費者交流も

 6月18日、7月10日両日には生協エルコープの組合員、それぞれ30人近くが家族連れで訪れ、田んぼの草とりをしながら、田んぼの生きもの調査を手伝いました。田んぼに突然現れたヘビには、キャーキャー逃げ回るお母さん方をよそに、好奇心旺盛な子どもたちが、一斉に携帯電話のカメラで写真を撮る光景も……。ちば緑耕舎の事務局、中澤和彦さんは「子どもたちに土や生きものに触れてもらい、イトミミズやカエルのような小さな命が田んぼで役立っていることが少しでも伝われば」とほほ笑みます。生産者団体にとっては「ふだん産直米を食べている家族連れのお母さん方から直接、意見や要望を聞ける」(中澤さん)というメリットもあるようです

◆丸々太ったメダカが泳ぎカモが子育てする田んぼ

 調査対象の田んぼのひとつ「ふゆみずたんぼ」では、春の終わりごろからメダカがたくさん増えましたが、夏場になってからは、カメ(多くはクサガメ)の姿が目立つようになってきました。メダカを餌にしてカメが成長しているのでしょうか。それとも田んぼにエサが豊富なのを知って、利根川から上ってくるのでしょうか。この「ふゆみずたんぼ」では、毎年野生のカモが子育てをします。今年も5〜6“家族”、30羽以上がくらし、子ガモが巣立っていきました。「夜な夜なカモが田んぼのミミズをすすりながら宴会をしているよ」と笑うのは、この田んぼの田主、新海秀二さん。大食漢のカモたちがくらせるほど、豊富な生態系が田んぼに完成しているようです。

◆イトミミズが意外に少ない?田んぼには“小宇宙”の謎

田んぼの様子を再現した水槽。イトミミズの活動で土が盛り上がる。 6・7月の調査結果では、農薬や化学肥料を使う「慣行栽培」の田んぼで、農薬や化学肥料を使わない「ふゆみずたんぼ」よりもたくさんのイトミミズや、ユスリカの幼生(ミミズに似た生きもの)が見つかりました。「農薬を使わないほうが生きものが増える」と一般には思われているのに、なぜでしょうか? 「ふゆみずたんぼ」には、たくさんのメダカやカメ、カモがすんでいますが、彼らが盛んに食べるので数が少ないのでしょうか? 外から田んぼを見る限りでは、メダカやカモがくらす田んぼのほうが、生きものが豊かで稲もスクスク生長しているように見えるのですが……。生きもの同士の関わりはたいへん複雑。「田んぼはひとつの小宇宙だ」と言う人がいましたが、こ の調査結果の謎を前に、その言葉の重みを実感してしまいます。地域のみなさんの温かい協力で、毎月の調査結果が積み重なれば「小宇宙」の謎に少し迫ることができるかもしれません。
<写真上:田んぼの様子を再現した水槽。イトミミズの活動で土が盛り上がる。>

未検証の仮データです。

メダカが大量発生!?

 ―発行:田んぼの生きもの調査プロジェクト―


(C) All rights reserved.  画像・文章などの無断転載を禁じます。