「2007年を振り返って」 ジーピーエス取締役事業本部長 高橋宏通
元来農業は、食べ物を作り出すという仕組み以外にさまざまな機能を持っています。
太陽の光、水、土、CO2(光合成により炭水化物を作りだす)など、自然界にあるものを活用し、微生物をはじめ多くの生きものを育み、その傍らで食べ物を作る。これは、農業が本来持つ構造です。育まれた多くの微生物は、水や土のヨゴレ(有機物)を分解し浄化させ、植物の根から養分を吸収できるようにしてくれます。さらに微生物は、食物連鎖の底辺を支え、多くの生きものを育くむ土壌を作ってくれます。植物の最大の機能である光合成は、大気中のCO2を吸収し、栄養分を作りながら酸素を放出しています。
加えて耕種農業には、ともするとゴミとなってしまう残渣を貴重な食べ物や資源にかえてくれるという機能もあります。畜産や地域の産業から出る廃棄物を、微生物がきちんと分解することで、「堆肥」という名の資源となり、人間にとって必要な食べ物を生み出す基礎となるのです。
前述の通り、「本来の農業」は、自然界にある、だれにでも手に入るものを駆使して、人間にとってかけがえのない安全な食べものを作ってくれるわけですから、欲張ってたくさんのものを手に入れたり、見た目のきれいなものだけを手に入れたりすることはできないはずです。しかし、ここ4〜50年、の農業は、収穫量を上げること、外見などの品質を向上することなど、経済性を優先追及した政策を進めてきました。そうして、農業が本来持つ機能以上の成果を追求したことで、農薬や化学肥料の多使用に頼る農法を生み出してしまいました。毒性の強い農薬の使用は、土のなかの多くの微生物を死滅させ、水の浄化機能や、生物の多様性を育む機能を損ないました。こうなると、農業が本来持つ「循環機能」が悪影響を引き起こし、かえって土壌や水に農薬や化学肥料による汚染が広がるという事態を招いています。私たち消費者は、「安く」「見栄えの良い」農産物を、「安定的に」手に入れられるようになった代わりに、多くの物を失っていったのです。
この現状に疑問を投げかけ、もう一度農業の本来の姿に立ち返って、自然界の持つ機能を最大限に生かした「欲張らない農業」を生産者に実践していただく。そして、その価値を正しく評価する。これが、環境保全型農業の推進においてパルシステムが心がけている最大のテーマです。
農業の後継者不足、エタノール問題、食糧自給率の低下、あいつぐ食品偽装の発覚などが問題となった2007年でした。2008年はあらためて…食に対する考え方を見つめなおし、農業が本来持つ仕組みが最大限発揮できるような産直を実践していきたいと考えています。
ジーピーエス取締役事業本部長 高橋宏通
